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コメント欄でヴィゼータさんからご指摘いただきましたとおり、
小林義典氏って、「水伝授業」やらかしていた教師だったんですね。
かつて、江本勝氏本人が「アインシュタインの予言」を賞賛したことがあります。
【水伝提唱者、ニセ歴史学に引っ掛かる】で紹介しましたが、
これら事例からも窺えるように、「水からの伝言」や、それに類するニセ科学は、
こういう偏った歴史観と親和性が高いんじゃないか、と個人的に考えてます。
はじめに
平成一〇年四月一九日に、京都で「新社会科を考える有田和正 VS 向山洋一立ち会い授業&京都フォーラム」が行われた。 (中略) ペリーがやってきて大あわてをした人々がいたというのも事実である。しかし、ペリーの乗ってきた黒船を見て設計図を書き、それを作り上げた日本人がいたことも事実である。どちらの事実をとりあげるかは、教師がどのような立場に立つかによって違ってくる。 日本人のすばらしさを伝えたいという立場に立つ教師なら、当然後者を選ぶだろう。 子どもたちを「前向きに、前進的に育てたい」と願う教師なら、後者を選ぶはずである。 (後略) Ⅱ 日本人の気概を伝える(冒頭) (前略) 一四年前、初めて六年生を担任をして歴史の授業を行った。今考えれば、子どもたちが日本を嫌いになるような授業もあった。 日本の子どもたちが、学校で勉強をして日本を嫌になる。このような話は変である。 今の自分は、「日本のよさ、日本人のよさ」を「前向きの立場」で子どもたちに伝えたいと考えている。そして、そのためには、「前向きな事実」「前進的な事実」を教師が積極的に授業に組み入れ、子どもたちに事実認識を育てることが大切と思う。 (後略) Ⅲ 歴史授業を見直す 事実を伝える社会科授業(冒頭) (前略) ここで次の言葉が引っかかる。「教育されてきた」、「教え込む」。誰が教え込むのか? 当然教師である。私を含めた日本の教師が教えていたのである。「第二次大戦は日本の侵略戦争だった」とか、「原爆を落とされて日本人は目覚めたのだ」等というように。これが間違いだと気付いたのは、長崎であった第五回向山塾「ヒロシマの授業」に参加してからであった。向山氏は、原爆投下の問題を日本の教育界では全くやってこなかったと断罪する。そこで向山塾で学んだことを生かして、真の平和学習とは何かということで提案授業をしてみた。進化する核兵器の事実から、アメリカの原爆投下の責任を考えさせたかった授業である。 (後略) |
氏の影響を受けた教師たちの、心理の変遷が非常に興味深いです。
日本の歴史を、ポジティブな方向から捉え直そうとしているんですね。
(反面、他国の歴史はネガティブな方向から把握しようとしている)
「日本人のすばらしさを伝えたい」「前向きに、前進的に育てたい」
「日本のよさ、日本人のよさ」を「前向きな立場で」子どもたちに伝えたい。
反面、アメリカの原爆投下の責任は、厳しく具体的に追及する。
こういう歴史観と水からの伝言、そしてそれに類するニセ科学、
また昨今ブームのスピリチュアル的志向との最大の共通点は、
そのポジティブさにあるのではないかと考えてます。
良い言葉、美しい言葉、ポジティブな言葉のみを短絡的に評価し、
そして自らも良くあろう、美しくあろう、ポジティブであろうと志向する。
逆に、悪しく、醜くく、ネガティブな言葉や概念は、拒絶の対象となる。
ポジティブであることを正当化するために科学が都合良く用いられ、
何なら、ポジティブな方向に科学や事実を曲解するのも厭わない。
こういうポジティブ志向の人でしたら、日本を手放しで褒め称えてくれる
アインシュタインの言は、そりゃあ事実がどうであれ
無批判に受け入れようとするのも無理はないと思われます。
TOSSの考え方も同様で、日本人の醜かった事実は教える価値がなく、
後ろ向きな、日本に対して反省を迫る態度は、否定されねばらないのです。
しかし、これはまさに選択的思考ノ薦メに他ならないんですよね。
日本にポジティブな方向に、確証バイアス積み重なりまくりです。
実際、向山洋一氏自身、日本が「東京裁判史観」に毒されてると考えてることは、
「法則化社会ネットワーク」1号(法則化社会研究会) を参照のこと。
そういう歴史観からすれば、2006年以降「新つくる会」に参加したのは必然。
(ちなみに、それまで「つくる会」に参加してなかった理由)
戦後の日本社会科教育には大きな問題点がある。 「敗戦」「東京裁判」のなかで内容が作られたからである。当然「日本が悪い」「占領軍は正しい」という社会認識の上に作られる。それを受けいれ進めてきた日本人も多い。知らず知らずのうちに「それが正しい」と思いこんでいる日本人はいっぱいいる。 私たちは「戦後の社会認識、歴史認識の論理」を疑い正すことをしなければならない。それは日本の教師の責任なのである。 |
こういう態度で歴史を疑い正し、日本にとって都合良く取捨選択していけば、
それは歴史修正主義にも陥りましょう。
こういうポジティブな方向でしか科学や自然現象を捉えることができなければ、
それはニセ科学にも陥りましょう。
ニセ科学の蔓延やスピリチュアルな風潮にも、同様の危惧を抱いてます。
ニセ科学を信じることで、物事を善悪二元論で単純に把握しようとする人、
スピリチュアルな番組の影響で、より美しくポジティブであろうする人が、
過去の歴史に対峙した時、果たして真摯な態度で臨むことができるのか。
過去の醜い日本を、果たしてそのまま受け入れることができるのか。
しかも、ポジティブであることが社会的に一定の評価を得ているこの状況で。
個人的には、非常に心許ないと思うところです。
あたかも悪い言葉や悪い音楽、ネガティブな思考を排除するかのように、
軍部や、アメリカ、コミンテルンなど、絶対悪である何かに全責任を押し付け、
それに反する都合の悪い事実からは、目を逸らそうとするのではないか。
美しく、正しい部分のみ選択的に取り入れた歴史観になるのではないか。
てゆうか、実際そうなっている人も
大勢いるような気がするのですが…
最後に、こういうポジティブな志向への批判的な見方を紹介して終わります。
菊池聡『予言の心理学』(KKベストセラーズ)より引用。
ポジティブシンキングの功罪 (前略) もっとも心情的にわかりやすいポジティブシンキング批判は、「要するに現実から逃げているだけじゃないか」というものだろう。否定的なことは考えないというのは、現状に対して問題意識を持たずに思考を停止し、これを限りなく肯定する奴隷の根性を養成する。 (中略) ポジティブシンキングの落とし穴とは、リスクを管理し、低減しようという発想がないことである。特に真摯な反省が必要な「悪い情報」を無視することで、失敗の繰り返しを招いてしまうことを覚えておいてほしい。 (中略) 太平洋戦争前夜の日本では、当時の世界情勢、彼我の国力の差といった現実を冷静に分析できなかった。戦っても勝てないという正論(悪い情報)は、非国民呼ばわりされて省みられることなく、究極のポジティブ思考で戦争に突入したのである。さらに戦局が悪化して、各地で日本軍が敗北しても、悪い情報は秘匿されてしまい、大本営発表の景気のいい精神論のみ強調された。その結果、どうなったかは言うまでもないだろう。 |
※本文では、認知心理学の研究から見たポジティブシンキングの特徴と分析、
更にポジティブシンキングの「功」の部分にも言及あり。是非とも、全文読んで頂きたいところ。
○「脳内お花畑」
と言い換えた方がむしろしっくりきそうえすね。
そういえば、太平洋戦争中は「敵性言語」というレッテルを拵えて、英米由来の外来語を使わないことにして、野球の用語なんかも日本語に置き換えてたって話を見ましたが……。水伝で、悪い言葉を排除する、というのと酷似しとるがな。
>○「脳内お花畑」
>
>と言い換えた方がむしろしっくりきそうえすね。
どうも遅くなりました。
ポジティブシンキングの逝きつく先が「脳内お花畑」であるのは同意です。んで、こういう考え方する人間の脳内がそうあることも、全く以ってその通りだと思っています。
でも、人間誰しも(少なくとも)自分 だ け は物事を合理的に考えていて「脳内お花畑」という批判は自分には該当しないと思ってるわけで。なので、客観的に見て「脳内お花畑」であっても自覚がないポジティブシンカーと、それを妙に推奨する風潮に、多少なりとも自分のこととして考えて戴きたく、「ポジティブシンキング」を槍玉に挙げました。「功」の部分もあるので、一概に全否定するつもりはありませんが。
> そういえば、太平洋戦争中は「敵性言語」というレッテルを拵えて、英米由来の外来語を使わないことにして、野球の用語なんかも日本語に置き換えてたって話を見ましたが……。水伝で、悪い言葉を排除する、というのと酷似しとるがな。
当時、水伝とかあった日には、「shine」どころか「beautiful」ですらも崩れた結晶になったことでしょうね。まぁmixiの某コミュでも「ありがとう」の方が「謝謝」「カムサハムニダ」より美しい結晶でした、みたいなこと言ってた人もいましたし。
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