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某日記別館(裏日記)。トンデモや時事に特化。
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kikulogでも扱ってますし、EMについて本格的に考えてみようかと(遅っ)。
地元でも、EMの活動は盛んですしモーツァルトと相まって妙なことになってますし。
そういえば、比嘉照夫氏の書籍を何冊か持っていたことを思い出しまして、
奥の方から引っ張り出して読んでみました。 
wikipedia『科学とニセ科学』レジュメ『カルト資本主義』などと
 カブる部分がかなり多いですが、一応、初心者向きということでご容赦を)



まずは、一冊目。

微生物の農業利用と環境保全~~発酵合成型の土と作物生産~~
  農文協(社団法人/農山漁村文化協会)1991/03/01発行
感想 : 思ったより酷くない本でした
内容は主に、微生物の有効利用とその方法論。
目次を見ると、こんな感じ。
     ↓

第一章 微生物利用の新しい視点
   一、微生物利用による農業の飛躍
   二、微生物相管理の可能性と必要
   三、微生物相を中心とした土壌の分類
   四、環境保全に向けた微生物利用
第二章 発酵合成型の土壌と作物生産
   一、有用微生物の種類と機能
   二、発酵合成型土壌の卓抜した機能
   三、発酵合成微生物の品質向上、増収効果
   四、根の活力、病害抵抗力と根圏微生物
   五、水質の重要性と発酵合成型の浄化作用
第三章 発酵合成型にむけた土壌管理、栽培法
   一、有機物利用と微生物強化資材
   二、微生物資材の効果的利用法
   三、施肥の基本と塩類障害対策
   四、病虫害対策    五、品質向上対策
   六、雑草対策    七、緑肥の有効利用
   八、無耕起載倍    九、育苗技術
   一○、限界突破品種をめざして
   一一、土壌の簡易診断法
第四章 環境保全のための微生物利用
   一、微生物による残留農薬の分解
   二、畜産、農産加工廃棄物の有効利用
   三、下水の浄化と再利用
   四、水質浄化    五、土壌流亡対策
   六、生ゴミ処理    七、地球環境の維持


可能な限りデータや表・数値を多数示し、説得力を持たせようとしてます。
学術的・・・とまでは言えないかもしれませんが、比較的誠実な内容です。
妙に主観的な断定表現が見受けられたりしますし、見る人が見れば、
それらデータや数値も、恣意的で都合の良い用いられ方していたり、
記述に誤り(それも根本的なの)があったりするかもしれませんが、
それでも学術的に記述しようという努力が随所に見受けられます。

何と言っても、この本の最大の特徴は、
EM」という言葉がほとんど出てこないのです。 

目次にあるそれらしい解説をした部分にもこの言葉、全く出てきません。
  第二章 発酵合成型の土壌と作物生産
     一、有用微生物の種類と機能

EM」の記述があるのは、ほんの五箇所(P.98~99)だけ。
しかも本文ではなく、表の中の略語として。有用微生物(EM)処理した作物と、
そうでないものとの生育等を比較した実験において用いられるのみ。


・・・・・・で、二冊目。

地球を救う大変革~~食料・環境・医療の問題がこれで解決する~~
    サンマーク出版 1993/10/20発行
感想 : なんじゃこりゃ(笑) 

タイトルもそうですが、各章の見出しも非常に過激で断言的になってます。
お前ホントに科学者か?・・・と、問い質したくなるほど毒々しい仰々しい表現に。
目次なんぞは、ほとんどこれ深夜の通販番組のノリ。
      ↓

プロローグ 有用微生物群が地球を救う
   驚くべき蘇生型微生物の効果
   世界人口が100億人になっても大丈夫
   数百種類の微生物はすべてボスに従う
   家庭の生ゴミから環境汚染まで解決する
   有用微生物群は難病まで治す効果もある
   競争原理ではダメ、共存共栄の社会をつくる
第1章 食糧問題はこれですべて解決する
   複数の微生物の組み合わせに発見があった
   農薬や化学肥料の役割はもう終わった
   農民と消費者が損をする農政はおかしい
   地力が衰えれば人間の生命力も衰える
   抗酸化作用が環境汚染も防いでくれる
   病害虫もなくし、益虫を増やす効果もある
   連作が効き、雑草対策も万全、収量も倍増する
   土壌がすべて作物の育ちやすい状態になる
   いまの農業を変えないと日本はダメになる
   地球を救う根底は食糧問題にある
   有機農法の理想を現実化したEM技術
   やがて産業革命以来の大革命がおこる
第2章 環境問題はこうして解決する
   新品同様になる紙やプラスチックの再利用
   ゴミ処理費が10分の1になる可能性もある
   生ゴミも有機肥料になるから欲しくなる
   畜産の悪臭がたちどころに消えてしまった
   水不足解消、トイレの排水も飲み水に使えるほど
   この浄化システムで河川もきれいになる
   微生物が残留農薬まで分解してしまう
   プールも塩素投入でなく微生物群で浄化できる
   オゾン層の破壊も微生物で防ぐことができる
   ブラジルと比べても日本はまだまだ遅れている
   現実を知らない学者や役人が多すぎる
   飢餓と貧困に悩むアフリカでは解決の道へ
   なぜ微生物で環境問題が解決するのか
   微生物を蘇生型にもってこないと地球は滅びる
第3章 医療問題にも解決の道がある
   医療は本来、構造不況業種になるべきもの
   身体にいいかどうかは「保存力」と「臭気」でわかる
   寿命は延びたが半病人では社会的にもマイナス
   抗酸化力を高めれば自然治癒力も高まる
   ガンや糖尿病、肝臓病、膠原病などの治療例
   タバコを吸って肺がんになる人、ならない人の差は何か
   エネルギーを消耗するガンは抗酸化物質が大敵
   精神的な病い、心のゆがみで活性酸素が出る
   人間を健康にするのが蘇生型微生物の特徴
第4章 これからは共存共栄社会をめざす
   子供の頃から作物づくりが好きで農業一筋
   現場を知らない学問、現場で成功させた沖縄ミカン
   競争社会から共存共栄社会の時代へ
   「食」「医」「環境」は競争原理にさらしてはいけない
   本物技術はいいことばかりで安価なのが条件
   まず社会的なマイナス負担を減らすこと
   お金が好きな人はこれからは医学部より農学部
   実力とは知識や記憶ではなく問題解決能力
   いま理想社会を実現できるのは日本しかない

・・・・・・ね、すごいでしょ(笑)

もっとも、表現の過激さに関しては、比嘉氏よりサンマーク出版の編集が、
よりセンセーショナルになるよう煽っていることも、一因として挙げられます。
〔あとがき〕 

本書の題名が 『地球を救う大変革』 といういささか大げさなものになったことで、実は私自身、少々抵抗を感じています。しかし、編集側の「この技術は一人でも多くの人に知ってもらいたい」という熱意にしたがって、[中略] とりあえずまとめてみました。


その内容も、前著作であれだけ示していた表やデータなど欠片もありません
前著から2年半ほど経過してますが、その2年半で一体何が起こったんでしょ。
って、どうも船井幸雄氏に出会ったのが原因ではないかと思われるんですが。

 船井幸雄よりのコメント
 第3者(←ママ)としてEMを大々的に取りあげ、PRしたのは多分私が最初の人間だと思う。90年代はじめのころのことである

船井氏の著作『これからの10年 生き方の発見』(92.6)にはまだ載っておらず、
次の著作『これから10年 本物の発見』(93.6)で、初めてEMが扱われたこと。
そして、直後に著された『地球を救う大変革』(1993.10)の中での比嘉氏の変貌。
これらから察するに、『微生物の農業利用と環境保全』を著した頃とは
明確に異なる変化が比嘉氏の中で起こったことだけは事実でありましょう。


・・・とすれば、船井幸雄おそるべし!
 


とりあえず、その超絶な内容については後日に回すとして、
この本を読んで比嘉照夫氏自身について知り得ることを箇条書きにしてみる。

●そもそも「EM」って言葉自体、比嘉照夫氏による造語(歴史は非常に浅い)。 〔P.13〕

EMとは英語の「有用」(Effective)と「微生物」(Micro-organisms)を組み合わせた私の造語で、「有用微生物群」の略です。


●比嘉照夫氏自身、微生物学が専門ではない(本職は、ミカン等果樹栽培)。 〔P.40〕

当時は大学院というのは旧帝大だけにしかなく、私が希望していたミカンの研究ができるのは九州大学でした。
(前略)それで帰国後は、いままでサイドワークだった微生物に本腰を入れ始めましたが、結果は惨憺たるものでした。


●「EM」命名前後(S57年頃)に、「世界救世教(公式サイト)」と巡り会う。 〔P.42〕

EM実用化のメドがついたのは昭和57年頃のことですが、[中略] EMに関して園芸学会などで発表したのですが、反応はゼロに近いものでした。
ちょうどその頃、私の教え子の一人が 「ある自分たちの組織で自然農法に取り組んでいるが、どうもうまくいかない。先生のご協力を仰ぎたい」 と言ってきたのです。その団体というのは
世界救世教で、そのときはじめて教祖の岡田茂吉という人の存在を知りました。

そこで、世界救世教における内部抗争のダシに使われることになるわけです。
ただ、前述したように1991年の比嘉氏の著作の時点では、「EM」という言葉自体、
それほど重要視してないようですし(出版社から突飛な内容を書くの止められた可能性もあり)
EMを過剰にアピールするようになったのは、船井幸雄接近遭遇後だと思われます。

●あと、この本を読んで理解できるのは、比嘉照夫教授のメンタリティ。
特に、第4章にかなりの頁を割いて自己の経歴と心情を語っておりますが、
そこでEM開発からニセ科学までぶっ飛んでいった過程を垣間見ることができます。

この方自体、徹底的な実地学の人でありまして、学術研究や理論はほぼ独学。
それはそれで素晴らしいとは思いますし、努力は大いに認められるのですが、
反面、自分に足りない研究・学問コンプレックスを抱くこととなり、
その裏返しで研究・理論を軽視又は軽蔑する傾向が強いのです。
  〔以下、P.181~183からの抜粋〕

 高校時代の独学の体験は、いまでも私の人生観のバックボーンとなっています。「自学自習できることは人に教えを乞わない」「人間が考えたことなら時間さえかければだれにでも理解できる」「体験のないか架空なものはすぐ消える」などです。
    ↓

農業の現場を知らない農学は、ほとんど役に立たない机上の空論であり、学生にイロハを教えられても、実戦に役に立たないナマクラ刀と同じものです。
    ↓
私の意識は常に「どうすれば農業に役立つか」「この本のどこが農業に役立つか」という考えがあまりにも強すぎるために、理論を理論として取り込めず、「あいつは役立つかどうかの話ばかりして、学問の本質を知らないやつだ」とよくいわれたものです。
    ↓
というのも第二次大戦後の沖縄の暮らしのことが私の頭から離れなかったからです。 [中略] 食べたことのない野草を食べておなかをこわしたり、とにかく生きるためには食べられるものはなんでも利用しようと、あらゆる工夫をこらしていた時代です。
    ↓
それが原体験になっているので、理論を否定するわけではありませんが、役に立たない理論は受け付けず、常に理論コンプレックスを持っていました。
    ↓
[中略] あるときルンデゴールドの『実験生態学』という本に出会ったのです。私はこの本に引き込まれ、大変に面白かったので、友人にすすめたら、難しくてとてもわからないという返事でした。
    ↓
そのことがきっかけで私にもよく分かる本があると安心すると同時に、「私が読んで理解できる本は正しいが、私が読んでも難しくて手も足も出ないようなものは、間違っているとまでは言わないが、少なくとも現実の農業にはまず役に立たない」と思うようになりました。
    ↓
この思いはさらに深まり、複雑なものや難解なものはインチキか、完成度の低いもので、単純明快こそ真理であると考えるようになりました。この考えは今でもまったく変わっていません。


徹底的なの現場重視の姿勢の結果、現場で役に立つか立たないかの二分法に。
そして、役に立つ(と思った)モノを発見するやいなや、研究や理論は置いてけぼりに。
理論と実践のバランスというのは、つくづく難しいものです。


最後になりましたが、比嘉照夫教授の、ちょっといい話をひとつ。〔P.200〕

私の研究室の卒業生の中には、他産業に従事している人から羨望の目で見られている農家が多数います。彼らは代々続いてきた農家の子弟ではありません。一坪の土地もない農学部の学生でした。彼らを毎週、土日の実習で遠く離れた山の果樹園に連れて行き、夜は八時まで仕事をした後に、十二時になるまで酒を飲みながら議論し、朝五時には叩き起こして、また果樹園の仕事をさせる。その繰り返しで彼らを農業志望者に変えていったのです。
「いいか、学問をしたものが農業をやればすごいことになるのだ。おまえたちはそのことを世の中に示す役割がある。援護射撃はいくらでもしてやるから、農業をやれ!」
親は猛反対ですから、こちらも大変です。酒を飲ませ夢を語り、なだめたりすかしたり、
時には脅したりと色々とやって、<業は良いものだ。自分は農業をしなければいかん>というところに追い込んでしまったのです。
公務員試験に合格した学生三人ほどに農業をさせるために辞退させたこともあります。

・・・・・・え、怖い?

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こ、怖い……
最後のエピソード、怖いですねえ……。
いや、自分自身が学生だったらと考えると「自業自得」と思うのですが、親の立場で考えると「想定外の災難」でしかないです(親ばか)。
まあ、常識的に考えると誇張や自嘲が混じってこういう表現になっているのだろう、ある種のスパルタ的な接し方で魅力と覚悟を教え込んだとかいう程度のもんだったんだろう……と思いたいんですが……ううむ。
亀@渋研X URL 2008/04/20(Sun)02:38:54 編集
薄い紙一重
某閉鎖空間の日記に書いたら、「戸塚ヨットスクール!」とか「ヤマギシズム!」とかいうコメントが(笑)

>いや、自分自身が学生だったらと考えると「自業自得」と思うのですが、親の立場で考えると「想定外の災難」でしかないです(親ばか)。

実際、農業は大変だけどやりがいのある仕事でしょうし、比嘉教授は徹底的に善意の人なのですが、如何せん考え方が考え方ですし。てゆうか、こういう甘い(自分にとって都合の良い)見通しで農業始めて、果たして上手いこと成功するのかどうか。

>まあ、常識的に考えると誇張や自嘲が混じってこういう表現になっているのだろう、ある種のスパルタ的な接し方で魅力と覚悟を教え込んだとかいう程度のもんだったんだろう……と思いたいんですが……ううむ。

微妙ですよね。一歩間違えるとマインドコントロール。しかもその「一歩」、それほど離れてないわけで。
gallery   2008/04/20 17:09
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